ヒトの頭部と頚部の連結は、環椎後頭関節と環軸関節及びこれらの関節に付随する靭帯や関節包などによります。どちらの関節にも参加している第一頚椎のことをラテン語ではAtlasと呼びます。ギリシャ神話で、両腕と頭で天空を支えるとされる巨神の名が由来しています。日本語ではその形状から環椎と呼びます。
第一 頚椎(Atlas)の特徴としては、椎体を持たないこと・棘突起を持たないこと・左右に大きな外側塊を持つことなどがあげられます。後頭骨と第二頚椎(Axis)の間に挟まり、大きな頭蓋骨を支えています。
第一頚椎(Atlas)の椎孔は、脳幹から脊髄への移行部にあたり、本来は脊髄が通るのに必要なサイズよりかなり大きく、横にずれてしまっても脊髄を圧迫することがないようになっています。
しかし、外傷や長年の生活習慣による不整合により、本来可動域を保護しているはずの靭帯や関節包が肥厚するなどして脊髄が圧迫を受けるようになることがあります。第一頚椎(Atlas)は位置的に脳幹に近接していることから、種々の症状を発する元となってしまうのです。
また、この部位での不整合は、四肢や体幹の骨格へも影響を及ぼし、脊柱や骨盤、四肢の関節へ歪を発生させることに繋がります。
骨格のアンバランスにより生じた長年の負担の結果が、五十肩であり、椎間板ヘルニア・脊柱管狭窄症・すべり症・股関節症・膝関節症等々なのです。そもそもの原始は頭と頚の連結が正しくない、つまり第一頚椎(Atlas)に頭蓋骨が正しく乗っていないことに由来しているのです。
ヒトは直立二足歩行の為、脊柱の真上に頭蓋骨を乗せています。大後頭孔は、頭蓋底の中央に位置していて、第一頚椎(Atlas)の上関節窩が後頭骨の後頭顆を乗せる受け皿となっています。
①後頭骨の大後頭孔 ②第一頚椎(Atlas)の椎孔 ③第二頚椎(Axis)の椎孔 スリーリングは平行に整列していなければなりません
第一頚椎(Atlas)と第二頚椎(Axis)との関節は、環軸関節と呼びます。第二頚椎(Axis)は、椎体上面にある歯突起が特徴で、体軸に垂直な回転軸を持つことから和名では軸椎と呼びます。環椎と軸椎とからなる関節なので環軸関節といいます。
歯突起と環椎の歯突起窩との関節を正中環軸関節といい、強靭な横靭帯と縦束で結合していて、歯突起が脊髄を圧迫することのないようになっています。稀にこの靭帯が緩んで、延髄圧迫を受けている場合があります。この場合、レントゲンのサジタル像では、伸展または屈曲時に歯突起と前弓との間にV字の間隙を呈していることが確認できます。
頭と体幹及び上肢の重さを支えるため、脊柱の椎骨は下に行くほど大きくなり、S字状の弯曲構造で衝撃を吸収できるようになっています。頭と体幹を少ないエネルギーで安定的に保つことができます。
ヒトの正しい重心線は、側面像で、耳垂下端~肩峰~大転子~膝蓋骨後面~外果を結んだ線が一直線であることが正常とされています。この重心線に沿って適度に脊柱が弯曲を呈していることを生理的弯曲といいます。
頚椎では、レントゲンのサジタル像で、歯突起の先端から垂線を下した際に第五頚椎の前面を通っていること、そして大後頭孔・第一頚椎(Atlas)・第二頚椎(Axis)は、後方に14°傾いてそれぞれ平行であることにより、正常な生理的弯曲を可能にできるのです。
また、フロンタル像では、この3つの神経の通り道がそれぞれ平行で且つ正中線と垂直に交叉していること、そしてホリゾンタル像では、各椎骨の棘突起が正中線上にあり、左右の横突起や肋骨突起を結ぶ線が正中線と垂直に交叉していて回旋のずれがないことが重要です。
以上のように、サジタル像・フロンタル像・ホリゾンタル像がそれぞれ要件を満たすことが、三次元的にバランスの良い骨格といえます。Atlas Orthogonal Chiropracticでは、このことを施術の目標値としています。
第一頚椎(Atlas)と頭蓋骨の不整合は、全身の骨格に影響を及ぼします。微かなずれが、様々な症状を引き起こします。首の痛み・頚椎椎間板ヘルニア・五十肩・側弯症・腰椎椎間板ヘルニア・脊柱管狭窄症・後縦靭帯骨化症・椎骨の分離症やすべり症・股関節症・膝関節症・頭痛・めまい・自律神経失調症等など…
これらの諸症状を解決し、三次元的にバランスのとれた骨格に再構築することを可能にするのがAtlas Orthogonal Chiropracticのアジャストメントなのです。